志望校のレベルが違うのに、同一のテキストを使った受験クラスという名の一斉授業を受ける。これがそのお子さまの実力と得点力アップに本当に繋がるのでしょうか。

 御三家××名、早慶××名などと銘打った大手塾から転塾してきた生徒がいました。親と本人の希望は勉強を始める前から某中堅大学の付属中でしたが、大手塾では最難関校用のテキストを使った講義と解説が中心の授業で、年間テキストに匹敵する量の複数の副教材は自宅で自分で解くことが前提でした。当然のことながら、副教材はまったく手がつけられてなく新品のままであり、実践力もついていない状態でした。これでは3年生からの2年間はいったい何だったんでしょうか。

 毎日が苦痛で受験勉強どころか勉強そのものが嫌になっていた子に、もう一度勉強の意義や解けた時の感動と喜びをもたせ、志望校のレベルに合わせた無理のない内容での受験勉強を再開しました。正解率が多くなるとますますやる気が出て勉強の能率や量も自然にアップしていきました。その後志望校に合格したことは言うまでもありません。

 中学受験だからといって、一斉の中学受験クラスを選ぶ前にもう一度お考えください。1クラスしかなければ偏差値65以上の難関校志望の生徒から偏差値40以下の中堅志望の生徒までが混在しています。2つだとしてもかなりのレベル差です。たった1、2名の難関校合格者を出すためのクラスですし、塾の為にさらに個別指導塾や家庭教師を併用して勉強漬けになっている例も少なくありません。

 中堅校までであれば、何も最難関テキストを勉強する必要などまったくありません。また、志望校によって出題傾向も違うため不必要な部分もありますし、標準レベルの問題を中心に出題する学校もあります。

 可能性に期待することは大いに結構ですが、見極めることも大切です。想定される志望校に合わせた勉強をすることが、無駄がなく何よりもお子さまに無理のない合格への近道です。

 これから中学受験や高校受験の勉強に入る皆さん、『後悔先に立たず』です。ぜひ、参考にしてください。